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北海道幌加内町の朱鞠内湖で釣れる伝説の魚「イトウ」に挑戦!魚へんに鬼と書くその理由とは?

朱鞠内湖レポート第1弾はこちら>>

日本一寒くて、日本一広い朱鞠内湖に行ってみた

北海道幌加内町にある朱鞠内湖。幌加内町は日本最寒記録(-41.2度‼︎)を持つ、日本一寒い場所だ。そして朱鞠内湖は、東京ディズニーランド30個分の広さを誇る日本一広い人造湖(ダム湖)なのだ。しかも人口密度が2.05人/平方kmという日本一人口密度が低い町でもある。冬の大自然を満喫するには、ここ以上に最適な場所ってある? というほどに最適な場所だろう。

ひょんな縁で、今後の観光振興に向けて、冬のアウトドアコンテンツを体験できるお試しツアーに参加できることになったので、さっそく行ってみた(取材は1月末に実施)。

ツアー滞在1日目前半の記事はこちら>>
【北海道幌加内町】まるで北欧!? 日本一寒い朱鞠内湖でワカサギ釣りをしてきたよ

−30度対応のウェアについての記事はこちら>>
【上半身編】タオルも凍る−30度の北海道ってどんな服装? アウトドアウェアの基礎知識
【下半身編】超極寒−30度の北海道ってどんな服装なら大丈夫? とにかく足先を死守!

朱鞠内湖に生息する”幻の魚”イトウ

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魚に鬼と書いて”イトウ”。

朱鞠内湖は、幻の魚と言われるイトウの生息地としても有名。イトウは環境省のレッドリストにも載っていて、近い将来、絶滅の危険性が高い魚だ。

日本最大の淡水魚として知られているイトウは、長命の魚で15〜20年かけて体長は大きいものでは1.5〜2mにも達するそうだ。昔は東北地方にも生息していたとみられるが、現在は北海道にしか生息していないと考えられている。

朱鞠内湖は夏になると北海道はおろか、日本全国から釣りファンたちが訪れる、知る人ぞ知る釣りスポットなのだ。昨年、『情熱大陸』でもイトウを狙う釣り師が取り上げられていたので、見た方も多いのでは? 自然豊かな北海道でも限られた水系でしか見られない、文字どおり”幻の魚”だ。

果たして釣れるのか!? 朱鞠内湖でイトウに挑戦!

ワカサギ釣りをしている間に(ワカサギ釣りの様子は前回の記事を参照)、同行のスタッフさんたちがイトウの仕掛けをセットしていてくれたのですが、果たして結果はいかに!

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こちらイトウの仕掛け。穴を開けて釣り糸を垂らしておく。竿の先に鈴があり、アタリがあるとわかる仕組みだ

ドームテントの中でワカサギ釣りをしていると外からリンリン、リンリン。

ん、鈴だ! 鈴が鳴ってる! あわてて駆け寄ると、ググッとしなる竿。慎重に手繰り寄せると、

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イトウキターー!!! 「幻なんでしょ?」そんな困惑をよそに、イトウが釣れました。朱鞠内湖すごい。

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全然、釣りはしないし、魚にも詳しくないけど、イトウがりりしい顔立ちをしているのはわかる。イトウさん、かっこいいっす

こんなにスムーズに釣れるのは、現地でもなかなかないとか。

今回は、朱鞠内湖を熟知している魚に詳しいスタッフの方がポイントを見定めて竿を垂らしておいてくれたおかげ。朱鞠内湖でも昔は1メートル30センチを超えるサイズも上がったが、いまではメーターオーバーですらほどんと見られなくなってきているとか。今回、釣れたのは60センチ弱でした。

朱鞠内湖には大小さまざまな島が点在しているが、この独特の地形が豊かな釣りのフィールドを作り出しているのだ。フィヨルドのような複雑に入り組んだ地形の朱鞠内湖では釣りのポイントが無数にある。冬は凍っているので存分に楽しめないが、夏にはカヌーやボードで湖内を巡り、自分だけのポイントを見つけるのも面白そうだ。

また、朱鞠内湖ではイトウに関して、全国的にも厳しい遊漁規則を定めていて、保護にも積極的。使う釣り針は返しのないシングル、キャッチ&リリースを原則としている。町をあげて、自然環境の保護に力を入れている。自然を管理下に置くのではなく、自然と共に生きるための工夫が朱鞠内湖には普通に息づいているのだ。

これがイトウだ! 実物はかなりのデカさ!

せっかくなので、ぜひ動くイトウを見てもらいたい! ということで動画を作ってみた。生で見ると、ずいぶんと大きい印象。端正でスマートな姿は、釣り人が惚れ込むのも納得だ。

ワカサギやイトウなど釣りを2時間ほど楽しみ、この日のアクティビティはこれにて終了。宿「レークハウスしゅまりない」へ、スノーモービルに乗り込み、戻った。

ルイベにアメマス、行者にんにく… 地のものたっぷりの絶品夕食

ひとっ風呂浴びたあと(ずっと氷点下の世界にいたので、お湯の温かさが体にしみる)、お待ちかねの夕食タイム。北海道ならではの地のものが登場し、至福のひととき。

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メインはダッチオーブンで調理された根菜とチキンのロースト。ホクホクのジャガイモやかぼちゃにジューシーなチキンはアクティビティで疲れた体の活力になる。

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朱鞠内湖で釣れたアメマスの刺身。淡水魚らしいタンパクな味わい。

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お次は、北海道名物”ルイベ”。凍った鮭をそのままスライスした、ひんやり冷たいお刺身だ。噂には聞いていたが、何気に食べるのは初めて。冷凍されたおかげか、脂と鮭特有のニオイが抜けて、とてもさっぱりした味わい。口に入れると、やや解凍されて半生のようになり、なんとも不思議な食感。ルイベは、魚を長期保存できるほかに、凍らせることでアニサキスなど寄生虫を死滅させることができるというメリットもあるのだ。ひとつひとつにきちんと意味があることに、あらためて感心。

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今回の夕食の中でいちばんハマったのは、春巻きの具に入っていた行者にんにく。青森とか北海道など寒い地域で食べられている山菜の一種で、にんにくと名前に入っているが、にんにくではないんです。にんにく風味の山菜と考えてもらえばOK。味は本物そっくりなんだけど、本物のようなくどさがない。疲れたときには効きそうな一品。

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春巻のなかの緑のものが行者にんにく。名前の由来は、高地に生えるため行者が食べるにんにくということで名付けられたとか

ワカサギのアヒージョも登場。エビやタコのアヒージョは食べたことがあるけど、ワカサギは初めて。これまた新鮮なだけあって美味!

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マイナス15度 極寒バーでウィスキーをちびり

夕食のあとは、今回のツアーのベースでもある「レークハウスしゅまりない」を運営するNPO法人「シュマリナイ湖ワールドセンター」理事長の中野さんと朱鞠内湖の魅力についていろいろ話を教えてもらった。中野さんは、20年ほど前に自然本来の姿を求めて朱鞠内湖に移住をしてきた方で、少しずつ整備をして、今回のような朱鞠内湖のネイチャーツアーなどを企画している。

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「レークハウスしゅまりない」のテラスにはウイスキーの瓶がずらり。ちなみにこのときの気温は、−15度。

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ここまで寒いと、アルコール度数が高いウィスキーもほんのりトロリと舌触りが柔らかに。口に含んだときはキンキンに冷たく、のどを通ると一気にカッと熱くなる飲みごごちはクセになっちゃいそう。飲みすぎ注意ですね。ちなみにマイナス30度くらい冷え込む晩に、外に出しておくと、朝にはややシャーベット状になることもあるとか。まさに天然冷凍庫。

極寒バーと化したバーで、ツアーの参加者の方々と交流。雪がチラチラと舞うなかで、あらためて朱鞠内の自然の素晴らしさを語り合う。誰が言ったかうろ覚えだが、「朱鞠内には”自然しかない”んじゃなくて”自然だけがある”」という言葉が強く印象に残った。

−15度はタオルも凍ってカッチカチ

そんな圧倒的な自然だけがある朱鞠内にて、自然の力を感じるべくちょっとした実験を実施。ほんのり酔いも進んできたところで余興がてら、寒冷地でおなじみの”タオル凍らせチャレンジ”をやってみた。お湯で濡らしたタオルを屋外で振り回すとどうなるか。はたして結果は?

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目にも止まらぬ速さとはこのこと。勢いよくタオルを回す。案の定、このあとすっ転んでいた

ほんの20秒ほど回すと、タオルはみるみると凍っていった。凍る凍るとは聞いていたが、ここまでしっかり凍るとは驚きだった。

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ランタンの隣でピンと立っているのがタオル。もはや現代アート。もしタオルに口があれば「カッチカチやぞ」と言ってるはず

こんな感じで朱鞠内湖滞在1日目の夜は更けていったのでした。

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朱鞠内湖滞在2日目はスノーシューハイクを体験したり、北欧的絶景を見に行ったり。朱鞠内湖レポート第3弾はあたらめて近いうちに書くとします。ではまた!

【続く>>【北海道幌加内町】朱鞠内湖でいま注目の”雪板”と、北欧的絶景を堪能してきたよ】

text:george

【PROFILE/george】

茨城県東海村出身の32歳。インテリア雑誌、週刊誌、書籍、ムックの編集を経て、現在Webディレクター。4年前の朝霧ジャムに行って以来、アウトドアにハマる。テントはMSRのエリクサー3、タープはZEROGRAM。車を持っていないので、キャンプに行くときは知人の車に相乗りが常。なので、基本の装備は「軽くコンパクトに、友人の負担にならないこと」が信条


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