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ミニバンキャンピングカー版ヴォクシーに乗ってみた!改造費用や乗り心地を本音レビュー

実は身近になりつつあるキャンピングカー

キャンピングカーは、もう高嶺の花ではありません。

昨今はアウトドア、とりわけキャンプの流行りに乗じてキャンピングカーも増えており、キャンプ専用車的位置付けではなく、ふだん使いができるキャンピングカーが増えています。

ここではそんな「ふだん使いができるキャンピングカー」の代表でもあるヴォクシーについて、実際に乗ってみた感想や改造費用などもふくめて解説していきます。

アウトドアブームでキャンピングカーも増加傾向に!

オートキャンプ人口は、2013年から毎年10万人規模で増加しており、2019年は860万人になりました。

年齢層は30代、40代が中心で、なかでも40代がけん引している状況です。

近年の傾向としては。冬にキャンプをする人口が増えているのも大きなポイントです。

同時にオートキャンパー人口が増えているのに比例して、キャンピングカーも増加しています。

近年は”ふだん使い”できるキャンピングカーが人気

キャンピングカーは法改正により、構造要件を満たし、キャンピング車として8ナンバー登録できる車種が少なくなってきている一方で、簡易キャンピングカーと呼ばれる、ベッドやシンク、キッチン、サブバッテリーなどのキャンピング装備を架装したキャンピングカーが増えています。

上記のように8ナンバー登録ではないキャンピングカーには、軽自動車やワゴン車、ミニバン、商用バンなどを架装したキャンピングカーが多く存在しています。

これらはキャンパー架装はしているものの、基本的には多くの人が自家用車として購入するクルマとほとんど変わらない使い勝手が最大の売りなのです。

キャンピングカー仕様に改造された「ヴォクシー」をレビュー!

例えばミニバンの「トヨタ・ヴォクシー」を例にしてみましょう。このモデルは、ノアやエスクァイアが兄弟車となる、トヨタでも売れ筋のミニバンです。

こちらのクルマ、見た目はほぼヴォクシーのまま。普通に公道を走れますし、商業施設などの立体駐車場(2.1m制限)であれば入出庫できます。

でも、これはキャンピングカー仕様に改造されたヴォクシーなのです。よ~く見るとルーフが少し普通のクルマとくらべて何か違うような気がしませんか?

キャンパー仕様に改造してあるルーフ

これはルーフがポップアップするために改造された部分。天井が開くことでルーフの上に空間ができ、この空間が就寝スペースとなるのです。

この改造により、純正より車高が約10cm高くなっています。それでも車高2.1m以内なので、標準のヴォクシーが入庫できる立体駐車場に同じように入れます。

さらに今回ご紹介するキャンピングカー仕様に改造されたヴォクシーは5ナンバー。ヴォクシーの場合、売れ筋グレードこそ3ナンバーですが、標準ボディは5ナンバーなのです。

売れ筋はエアロパーツをまとっているのでボディサイズが1,700mmを少し超えていることから、3ナンバーになっています。

そのため室内寸法は5ナンバーでも3ナンバーでも同じなので、決して大きすぎるクルマではありません。

ヴォクシー/ノア/エスクァイアの兄貴分となるアルファード/ヴェルファイアの方が大きいので、ミニバンの中では改造をしても比較的コンパクトな部類でしょう。

ちなみに、こちらはルーフの就寝スペースへの入口です。入口は車内からとなり、通常の天井部から出入りします。

車内からの出入口(ルーフをポップアップしていないとき)

ルーフをポップアップしないときはこのようになっています。

ポップアップは、この車種の場合はダンパーが取り付けられているので、特別な操作もなく手で押し上げることで一気にポップアップします。

キャンピングカーだと、トラックやマイクロバスの改造型、トレーラーなどのイメージが強く、大型のクルマという印象が強いかもしれません。

ワンボックス車の代表格であるトヨタ・ハイエースでも、キャンピングカーになると全長5mを超えるロング仕様車がベースだったりと、これもまた「大きい」というイメージが強いです。

ましてやアメ車や欧州車のキャンピングカーとなればこれまた当然「大きい」となります。

大きいと日常的に乗ることができません。国土が狭い我が国では、駐車場ひとつとっても決して大きくはありません。都市部では立体駐車場も多いので、買い物に行くにも駐車場が利用できないという実態があります。

しかし、このように乗用車系のキャンピングカーであれば、実はふだん使いが可能。通常時はこのようにごく普通のミニバンなのです。

着席状態のリアシート(通常の状態)

この車種の場合、フロントが運転席+助手席、リアシートが2席、そしてサードシート1席の計5人乗りとなります。

キャンピングカー仕様に改造された「ヴォクシー」の内装

ふだん使いができるとはいえ、ヴォクシーにはしっかりキャンピングカーとして活躍してくれます。

リアからみたフルフラット状態(ベッド仕様)

まずは段差なくフルフラットにすることができるため、この状態にして季節や天候、場所に応じて寝具を設置します。

またこのクルマはルーフをポップアップさせることで、新たな就寝スペースが発生するので、就寝定員は室内2名+ルーフ部2名の計4名です。

写真では助手席が反対側を向いていますが、このクルマの場合、運転席側も同様に反対側にシートを反転させることができます。ヴォクシーは、こんなちょっとしたギミックがあるミニバンキャンピングカーでもあります。

そしてシンクと電子レンジが標準搭載されており、シンクは10Lの給水タンクと排水タンクがシンク下に設置されているほか、給水タンクはサブバッテリーからを電源とするポンプで水を汲み上げます。

電子レンジは200W/500W/700Wが使用でき、大きくないですがテーブルを設置することも可能です。

シンク下の電源系ボード

ちょっとしたことで水が使えたり、電子レンジが使えるとキャンピング・スタイルも新しいものとなり、新たな楽しみが生まれてきます。

一般車両との違い キャンピングカー版ヴォクシーならではの装備

ここまでで見た目は一般車両と同じで、ふだん使いができるクルマでありながらも、キャンピングカーとしても使えるとおわかりいただけたかと思います。

さらにキャンピングカーならではの装備といえば、サブバッテリーです。キャンピングカーの場合、自動車に通常搭載されているバッテリーをメインとし、それに対してサブのバッテリーを搭載していることがほとんど。

キャンピングカー版ヴォクシーにも搭載されているサブバッテリーは、メインバッテリーより容量が多く、走行することで充電されます。

そしてAC/DCコンバータ―が搭載されることがほとんどなので、AC電源が使用できます。

シンク下の電源系ボード

そんなサブバッテリーには、外部給電機能も搭載されていおり、このソケットに接続するケーブルもl10mほど装備されています。

リア・バンパーに設置された外部電源ソケット

さらにキャンピングカー仕様に改造されたヴォクシーには、多くのキャンピングカーに搭載されている通称「FFヒーター」が搭載されています。

FFとは Forced Flue system のことで、日本語では強制吸排気という意味で、吸気と排気を車外でするヒーター。

燃料はクルマの燃料を使用します。燃費はおよそ0.1~0.2L/hと驚くほど低燃費です。

前述の外部電源ソケット下側にその吸排気管が設置されており、室内にはその暖機がパイプを通して送り込まれます。

室内に設置されたヒーター用ダクト

このヒーターは省燃費でありながらも強力で、真冬であっても20分後にはポカポカで車外へ出たくなくなってしまうほど快適。

クルマのエンジンを停止したままで使用でき、これこそキャンピングカーだなと実感できる装備です。

外見は普通の乗用車、中身はキャンピングカー!

キャンピングカー版ヴォクシーは見た目、取り回しは普通の乗用車ですが、中身はしっかりキャンピングカーのメリットを享受できる仕様となっています。

もちろん装備が搭載されているぶん、改造されていないベース車よりも価格が高くなってしまいます。

どこまでの装備を求めるかによって費用は変動しますが、今回ご紹介した仕様に改造する場合は60~100万円程度の費用が必要でしょう。

各種装備は業者や時期によっても異なるうえに、どこまで改造を依頼するのかという範囲によっても変動します。

ヴォクシーを一からキャンピングカーとして満足できるまで改造しようとなると、それなりに納車までも時間が必要です。

一から業者に改造を依頼する場合、まずはベース車両を購入してからキャンピングカー仕様へと改造していく必要があり、この架装作用はほぼハンドメイド。そして現在各キャンピングカー・メーカーは、みなバックオーダーを抱えているため、納車まで時間を要してしまうのです。

しかし、乗用車としての立ち位置をキープしながらキャンピングカーとしても使えるヴォクシーは、アウトドア&車中泊好きにはぜひ乗ってもらいたい車のひとつ。

アウトドアの新たな楽しみを見つけたい人は、ぜひキャンピングカー仕様に改造されたヴォクシーに乗ってみてはいかがでしょうか。


取材車:VOXY DAYs POP JOY(架装メーカー:ホワイトハウス)

ホワイトハウスの詳細はこちら 

ベース車両 トヨタ・ヴォクシー グレードX(4WD) ガソリン・エンジン(2.0L)

乗車定員 5名 / 就寝定員 4名(室内2名 + ポップアップルーフ内 2名)

搭載装備 ポップアップルーフ、サブバッテリー、電子レンジ、シンク(タンク容量10L)、FFヒーター、AC/DCコンバーター、電圧計、ACコンセント(2口)、シガーソケット(DC)、全ガラス面用カーテン、網戸(リア・左右スライドドア、リア・ゲート)、運転席/助手席回転シート、前後ドライブレコーダー、LED室内灯(3灯)、外部給電 等

【文/撮影】ランドメール・鈴木

【Profile/ランドメール・鈴木】

神奈川県横浜市出身、広告会社経営。キャンプをはじめクルマ、マリン関連のアウトドアを趣味とするかたわら、仕事にも取り込んでいる。日本オートキャンプ協会公認インストラクター。

※この記事は2020年の記事を再編集して再掲したものです。


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